プラスチックが登場して以来、その利便性から我々の生活は飛躍的に発展し、
もはや、快適な生活に無くてはならない重要な材料となっております。
しかしながら、プラスチックは「燃えやすい物質」として大きな欠点を有しており、
このため、社会生活に深く関われば関わるほど「火災の危険性」が高まり、
社会生活に大きな損失を招く恐れが生じました。
この欠点を除去するために用いるのが「難燃剤」です。
「難燃剤」はプラスチックなどの燃えやすい物質に添加されて、初期の着火を防止する働きをします。
即ち、煙草、ローソクの火、あるいは電気的な欠陥などの小さな着火源との接触で燃焼が
拡大する危険を最小にし、他への火災拡大を抑制する働きをするのが、「難燃剤」です。
「難燃剤」は社会生活の安全・安心に無くてはならない重要なものです。
プラスチックにはその化学的、物理的性質の異なる多くの種類があり、また、使用分野も電気製品、
交通分野、建築分野その他多くの用途に、しかも、プラスチック成形品、発泡製品、繊維状製品など
様々な形態で使用されることから、それに使用される「難燃剤」もそれぞれの目的に合った
種々の物質が使い分けられてきております。
日本難燃剤協会はその前身の発足が1974年で、まもなく40年目を迎えます。
協会発足当時は、市場ニーズの急増に対し、その効用に関する技術課題が活動の中心でしたが、
最近は化学物質の環境・安全性意識の高揚から、課題の中心は環境問題、安全性問題になってきております。
この問題に関し、一部ある種の誤解ゆえの悪いイメージが喧伝され、難燃剤全般を疎外する動きもありました。
難燃剤はその社会的役割の重要性と共にこうした環境・安全問題に関しても正当な科学的な評価をもとに、
社会に受入れられるようにしていくことが肝要です。これには個々の企業が対処することは勿論ですが、
業会全体として取り組むことがより大きな力となります。この点からも協会活動の重要性が高まってきております。
ただし、協会活動は加盟企業の協力によって成り立つもので、難燃剤業界に携わる全ての企業の参加が望まれます。
昨今、難燃剤など化学物質を取り巻く環境は変化し、新たな段階に入りつつあると考えられます。
これは、地球温暖化や環境破壊を防ぐには、より広い観点から問題を捉える必要があることが
ライフサイクルアセスメント研究やリサイクルの実務経験より明らかにされた為です。
単なる化合物の排斥では問題の解決とならず、個々のケースに最適な方法を科学的に検討することが
必要であることを示しています。
難燃剤協会は諸官庁、関連業界と連携をより強化しつつ、こういった課題に対しての問題解決、
情報提供を進めていく所存です。