WEEE/RoHS等で規制が予定される臭素系難燃剤


現在、欧州連合(EU)で検討されている『電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(RoHS)に関する指令(案)』(第1読会時点01.06.15)は、下記のようになっている。なお、本指令は、欧州共同体設立条約、並びに特に第95条(欧州連合内の一律規定で、各国による変更は許されない)をベ−スとすることになっている。2007年1月1日より、上市される製品から適用される予定となっている。(第2読会等で審議中)昨年の第1読会で特定有害物質として決定されたものは以下の物質である。但し、適用除外もあり、検討中である。

RoHS指令による段階的使用中止案
2007.01より新たに上市される製品の場合
対象物質
使用禁止の理由
中枢神経系機能障害、発ガン
水銀 脳障害、精神障害
カドミウム 腎機能障害、生殖欠陥等
六価クロム 発ガン
PBB 生物体内蓄積
PBDE 生物体内蓄積性(Penta-BDE)

このうちの臭素系難燃剤のPBB(polybrominated biphenyls)、
PBDE(polybrominated diphenyl ether)である。
これらの化学的な構造式は以下のようになっている。
ベンゼン核が直接に結びついたものをPBBといい、ベンゼン核に臭素がつく可能性は1〜10まである。一方ベンゼン核の間に酸素(O)をはさんで結びついたものがPBDEであり、臭素がつく可能性は、1〜10まである。ということを前提に整理をすると、
≪一覧表≫
名称1
Brの数
名称2
CAS番号
PBB
(ポリ)ブロモ(=ブロミネーティッド)ビフェニール 2052-07-05、
2113-57-7、
92-66-0
10
デカブロモビフェニール 13654-09-06
9
ノナ  
8
オクタ 61288-13-9
7
ヘプタ  
6
ヘクサ 59080-40-9
36355-01-8
67774-32-7
5
ペンタ  
4
テトラ 40088-45-7
3
トリ  
2
92-86-4
1
モノ  
PBDE
(ポリ)ブロモ(=ブロミネーティッド)ビフェニールエーテル
ポリブロミネ−ティッドビフェニ−ルオキサイズ
101-55-3
10
デカブロモビフェニールエーテル 1163-19-5
9
ノナ 63936-56-1
8
オクタ 32536-52-0P
7
ヘプタ 68928-80-3
6
ヘクサ 36483-60-0
5
ペンタ 32534-81-9
4
テトラ 10088-47-9
3
トリ 49690-94-0
2
9050-47-7
1
モノ  
但し、CAS番号チェックはしていない。原文のコピ−。
日本市場での販売を基準とするとPBBは、全く販売されていない。PBDEのうち、現在でも日本で販売されているのは、デカ(2800トン/2000年)とオクタ(0トン/2000年)であり、ここにリストした他のモノは、全く販売されていない。また、PBB類は2001年5月、フランスでの生産が最終。ペンタBDEは、2003年で世界でも生産中止。

≪難燃剤とその用途≫
 
DecaBDE
OctaBDE
適用
HIPS
◎は、使用量は多くないが現在も使用
○は、かつて使用したことがある
ABS
 
ポリオレフィン(PP)
 
ポリアミド
 
ポリエステル
 
繊維
 

≪臭素系難燃剤とRoHSと及びEUリスクアセスメント≫
欧州の今回の使用禁止は、臭素系難燃剤にかぎり、EUの実施しているリスクアセスメント結果に従うことになっている。現状は、下図の通り。
日本難燃剤協会調べ(2004.12現在)
 化合物
EUリスク
アセスメント対象
RoHS対象
メモ
構造式(※)
PBBs
YES
禁止提案
生産中止済
Penta-BDE
Tetra-BDE
YES
禁止提案
2003年生産中止
Octa-BDE
YES
禁止提案
RA結果により禁止解除
Deca-BDE
YES
禁止提案
RA結果により禁止解除
TBBPA
YES
対象外
TBBPAオリゴマー
NO
対象外
 
臭素系エポキシオリゴマー
NO
対象外
その他のオリゴマー
NO
対象外
HBCD
YES
対象外
リスクアセスメント中
その他
NO
対象外
 
 
※構造式の「○」をクリックすると構造式をご覧いただけます。


Copyright (C) FRCJ Allrights Reserved.
このサイトは上下のフレームにて構成されています。トップページはこちらからアクセスしてください。