2003年2月13日にEU官報に告示されたWEEE指令及びRoHS指令はいくつかの残課題を残し、そのその技術的な検討をEC下のTAC(技術適用委員会、各国の代表で構成)に付託していた。本年8月、主要な残課題であった、禁止物質の許容限度(閾値)を決定し、更に残っていたRoHS指令第4条(1)の要求から除外される、例えばDeca-BDEをどうするかの決定をようやく実施したわけである。 |
今回の決定は、既に指令が成立し、残課題の最終的な解決のために第7条(委員会)で規定されていた。
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1. 欧州連合の「決定」の種類
★欧州議会、閣僚会議の決定として
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指令(Directive) |
達成されるべき結果については、それが 宛てられた構成国を拘束するが、形式及び方法の選択に 関しては構成国の国家機関に委ねられる。但し、
共同体設立条約175条 |
各国でアレンジが可能 |
WEEE指令 |
共同体設立条約 第95条 |
域内市場の確立を目的 とし、加盟国は指令以上に厳しい規制を導入できない。 |
RoHS指令 |
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規則(Regulation) |
一般的な適用性を有し、全体において拘束力を有し、全てのEU構成国において直接適用される。即ち各国での議決は必要ではない。
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793/93/EEC等
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★欧州委員会の決定として
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決定(Decision) |
全ての点で拘束をする。
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勧告及び意見
(Recommendation and Opinion) |
拘束力はない。
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今回の欧州委員会の「Decision」は、欧州連合内でのこれ以上の議論を必要としないし、共同体設立条約第95条による指令であるために、欧州連合内一律の適用がなさる。但し、法等の成立後(RoHS指令の場合、2005年)、5年ごとに見直しが実施されるため、2010年にRoHS指令全体が見直されます。
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2. 除外の理由 |
なんと言ってもRegulation 793/93/EEC 優先リスク評価法(対象物質数 141化学物質)を背景とした EU リスクアセスメントでDeca-BDEの継続的使用に問題はない(588点のStudyによる)とした、欧州連合内の科学的な判断を基本的な判断基準としていること。 また、TAC(技術適用委員会---ECの下部機関)で投票で、9月に実施された最終投票で、除外反対意見の2倍以上の除外賛成がすでに得られていることなどが、欧州委員会の今回の最終決定の背景となっている。すなわち、72.3%の(絶対過半数)には届いていないが、51%を超える欧州委員会の除外提案(3月)への賛同が得られている。
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3. Q&A |
Q1 |
これは本当に最終決定ですか? |
A1 |
ECが、EU Official Journal(官報に相当)に発表した場合には、それが最終決定となり、かつ効力を発揮することになっています。 |
Q2 |
RoHS指令最終決定後の次のプロセスはどうなるのですか? |
A2 |
除外規定に関しては、上記が最終ステップです。但しEUの指令の場合には、5年ごとに見なおされることになっているので、2010年に見直しがされると考えられています。 |
Q3 |
今回の決定は、E&E業界にどう影響しますか? |
A3 |
2020年をタ−ゲットに有害化学物質の全廃を実行するために、世界中で、何が有害化学物質なのかを判断するためにさまざまな動きの一つが、今回のEUのリスクアセスメントだったわけです。1993年以降、10年間にわたるSTUDYの結果、Deca-BDEは、結論II、即ち、現在以上のリスクリダクション(例えば製造・使用禁止)をとる必要がないと決定されたわけです。またRoHS指令により、法的にも確認されました。アジアをはじめ、多くの国々では、たとえ、その電気・電子製品が欧州向けであっても、科学的に確認の取れたDeca-BDEを優先的に使用する動きが強まることも予想されます。 |
Q4 |
Deca-BDEの許容含有量 (MAX 0.1%)は適用されますか? |
A4 |
適用されません。 Deca-BDEの使用は、RoHS指令によって何らの電子・電気製品への使用上の制限をうけることはありません。 |
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