電気、電子機器等に幅広く使用されているプラスチックスでは、火災安全性の面で難燃剤が特に重要な役割を担っております。
問い合わせを受ける事が多い、リン酸エステル系難燃剤の燃焼時のホスフィンガス発生について御報告します。そこで、2つの異なる分析方法を用いてテストを行いました。
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1.試験目的 |
リン酸エステル系難燃剤を燃焼し、発生するガス中に含まれるリン系化合物がホスフィンであるかどうかの確認をする。
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2.対象としたリン酸エステル系難燃剤 |
・ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(大八化学工業(株)CR-741)
・1,3フェニレンビスジキシレニルホスフェート(大八化学工業(株)PX-200)
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3.燃焼ガスの精製 |
難燃剤0.1gを採取し、JIS K 7217の燃焼装置にて燃焼させて発生したガスをテドラーバック及び吸収液に捕集した。
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4.試験 |
試験−(1)検知管法による測定
ガス検知管(株式会社ガステック No7 ホスフィン)にテドラーバックよりガスを吸引して測定した結果、燃焼ガス中のホスフィンは検出されなかった。(検出限界2.5ppm)
試験−(2)ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法による測定
文献に述べられているホスフィンが溶出する条件でGC/MS測定を実施した。燃焼ガスからホスフィン及びその由来のピークは検出しなかった。
(文献:M.Chughtai et.al ;Anal Commum,35(3),109-111(1998) )
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5.結果 |
リン酸エステル系難燃剤を燃焼させ、検知管法、ガスクロマトグラフ質量分析法によって分析を行ったが、発生する燃焼ガスにはホスフィンの存在は認められなかった。 |