特徴・要約 |
テトラブロモビスフェノールA(C15H12Br4O2, phenol, 4,4'-(1-methylethylidene) bis[2,6-dibromo])、CAS-No 79-94-7,EINECS No 201-236-9はTBBAと呼ばれている臭素系の難燃剤です。TBBAは現在世界で最も多く生産されている臭素系難燃剤です。
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応用 |
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TBBAはABS、エポキシ、ポリカーボネート、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、フェノール樹脂、接着剤等のプラスチックの火災安全を改善するために使用されています。 |
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TBBAは反応性の難燃剤として、樹脂に反応させたり、あるいは化学的に結合させて使用されるとともに、反応を伴わない添加剤としても使用されます。 |
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用途によってプラスチックはUL94のような厳しい難燃規格に適合することが必要とされています。TBBAは他の難燃剤と同様、UL94に必要な難燃性をを付与することが可能です。特に、ABS樹脂用の難燃剤(添加剤として使用)として、VO規格に適合することが必要な用途に広く使われています。 |
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TBBAは主に反応性の難燃剤としてプリント基板のラミネート(例えばエポキシ樹脂)に使用され、電気機器、設備の火災安全性の向上に寄与しています。 |
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安全性情報 |
環境/健康 |
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TBBAは一般的な化学物質として扱われており、有害性物質として分類されていません。 |
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TBBAは殆ど生体内蓄積性の可能性が無い。”TBBA化合物は環境中の生体サンプルから通常は検出されていない。” |
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環境中で検出されるのはごく僅かな沈殿物及び土壌に限られている。 |
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”Extend2010の会議でTBBAが取り上げられています。
更に生体内中での繰り返しテストでも同様の結果が得られています。 |
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TBBAは廃棄物処理の観点からも使用に適しているという事例が数件報告されています。 |
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難燃剤のリスクを低減しようとするOECDの動きに対応して、業界は自主的にTBBAを削減プログラムの中に入れていました。しかし、OECDから懸念事項が明らかにされず、具体的な削減方法は策定されませんでした。 |
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EUリスクアセスメント:TBBAは既存物質規則の4th Priority Listに載っています。リスクアセスメントプロセスは、TBBAの製造、使用及び寿命に関連する環境、人体へのリスクを最も包括的に評価しようとしたものです。 |
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利点 |
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火災防止、低コスト、幅広い用途、低毒性、環境中での移動が少ない、リサイクルが可能 |
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反応性の難燃剤として、コスト面、火災安全性、人体への毒性でTBBAと同等の材料は見つかっていません。 |
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論点 |
問題点
特別な注意が必要な理由 |
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加熱工程で臭素化ダイオキシン類あるいはフラン類を生成する可能性があります。 |
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内分泌線の働きに影響(ホルモンの作用を妨害)を及ぼす可能性があります。 |
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TBBA及びその派生物質は、デンマークの”使用に好ましくない物質”のリストに含まれています。 |
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規制措置の状況 |
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難燃剤としてのTBBAの使用を禁止している国は世界中のどこにもありません。 |
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TBBAは93/793 EEC, 4th Priority List(英国がEUリスクアセスメントの担当国)の中に入っています。 |
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WEEEでEU委員会は、臭素系難燃剤が使われている樹脂を分離する必要があると提言をしました。この中には、TBBAが使われている部品、樹脂(例:プリント基板、ハウジング)も含まれています。 |
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ある特定の用途に限っては、添加剤としてのTBBAの使用が、エコラベルで制限される可能性があります。 |
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供給会社/出典 他 |
・日本難燃剤協会 |
Tel:03-3517-2232 Fax:03-3517-2560
E-Mail:info@frcj.jp
URL:
http://www.frcj.jp |
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・臭素科学・環境フォーラム(BSEF Japan) |
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・TBBAの供給を行っている日本難燃剤協会のメンバー |
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※注意
この難燃剤解説は、欧州難燃剤協会(EFRA)作成のFlame Retardant Fact Sheetをベースに、現時点で入手できる知見を基に日本難燃剤協会が作成しています。この難燃剤データ表は、健康・環境・規制情報等を提供することを目的にしておりますが、製品安全データシート(MSDS)・法的な要求文書等ではなく、また記載データは製品規格を示すものではありません。 |